【獣医師解説】犬猫の脱水・熱中症対策|症状や今日からできる水分補給と室温管理

【獣医師解説】犬猫の脱水・熱中症対策|症状や今日からできる水分補給と室温管理

【この記事はこんな人におすすめ】

  • 犬や猫の熱中症対策を冷房だけに頼っている方
  • 留守番中の室温管理に不安がある方
  • シニアの犬や猫と一緒に暮らしている方
  • 「うちの子は元気だから大丈夫」と特別な対策をしていない方
  • これから夏に向けて、ペットの健康管理を見直したい方

 


獣医師 渡邉 史恩

このコラムの執筆者
Polsris Vet 代表
獣医師 渡邉 史恩
全国の動物病院で出張手術や専門診療のサポートサービスを展開。日々の現場で感じる「本当に必要なケア」の目線から、ペットとご家族の安心につながる情報をお届けしています。


 

🔖 目次
  • 1. はじめに
  • 2. 犬・猫はなぜ熱中症になりやすいの?
  • 3. これが危険サイン!脱水・熱中症セルフチェック
  • 4. 熱中症を防ぐ、室温と湿度の整え方
  • 5. 効果的な水分補給で脱水を防ぐ
  • 6. 犬の散歩時に気をつけたいこと
  • 7. 熱中症が疑われた時の対処法
  • 8. まとめ

1. はじめに

毎日、本当に暑いですね。
この暑さで、ついだるくなったり、食欲が落ちてしまったりしている方も多いのではないでしょうか。

でも、これは私たち人間だけの話ではありません。
犬や猫も、実は人間以上に暑さに弱く、熱中症になることがあるんです。
特に犬や猫は汗をかいて体温を調節することができないため、私たちが思っている以上に注意が必要です。

さらに、見逃しやすいサインも多く、気づいたときにはすでに手遅れになってしまうケースもあります。
そこで、この記事では犬や猫の体のしくみや熱中症のサイン、そしてすぐに始められる予防策について、獣医師の視点からわかりやすくお伝えします。

大切な家族である犬や猫が、夏を元気に乗り切れるように、ぜひ最後までお読みください。

 

2. 犬・猫はなぜ熱中症になりやすいの?

犬や猫は、体の構造上、とても暑さに弱い動物です。
というのも、汗腺が足の裏にしかなく、人間のように全身で汗をかいて体温を調節することができないからです。そのため、主に呼吸(パンティング)や体の表面から熱を逃がしていますが、気温や湿度が高い環境ではそれだけでは十分に体温を下げきれず、熱中症になってしまうことがあります。
(※パンティング=犬や猫が口を開けて「ハァハァ」と速い呼吸をする行動のこと)

■ 人間と犬猫の感じる暑さの違い

犬や猫は地面に近い位置で生活しているため、照り返しの影響を受けやすく、体感温度が人間以上に高くなりがちです。
外気温がそれほど高くない日でも、アスファルトの表面温度は60℃近くになることもあります。

また、湿度の影響も深刻で、人間が「ちょっと蒸し暑いな」と感じる程度でも、汗をかけない犬や猫は熱をうまく逃がすことができず、急激に体温が上がってしまうことがあります。
特に日本の夏は湿度が高いため、熱中症対策として湿度管理にも注意が必要です。

■ 熱中症のリスクが高い環境

  • 気温が25℃を超える日(特に湿度が高い日)
  • 風通しの悪い室内や車内
  • 直射日光が当たる場所
  • 散歩中のアスファルトの照り返し

特に短頭種(フレンチブルドッグやペルシャ猫など)、高齢のペット、肥満気味の子、心臓や呼吸器疾患のある子は、熱中症にかかりやすいので要注意です。

 

3. これが危険サイン!脱水・熱中症セルフチェック

犬や猫の熱中症は、注意深く様子を見ていないと、気づいたときにはすでに重症化しているケースもあります。
以下のようなサインが見られたら、すぐに涼しい場所で休ませ、症状によっては動物病院へ連絡してください。

■ 主な症状

  • 元気がない、ぐったりしている
  • 呼吸が早く浅い(パンティングが激しい)
  • (※パンティング=犬や猫が口を開けて「ハァハァ」と速い呼吸をする行動のこと)
  • よだれが多い
  • 食欲がない
  • 皮膚の張りがなくなる(軽くつまんで戻るのが遅い)
  • 舌や口の粘膜が赤く充血している

■ 以下の症状が出たら特に注意!

  • 嘔吐や下痢(特に進行すると)
  • 舌や口の粘膜が紫色になる
  • 猫でパンティング(口呼吸)が見られる

※特に「湿度の高い環境」では急激に重症化することがあります。早めの対応を心がけましょう。

 

4. 熱中症を防ぐ、室温と湿度の整え方

熱中症にならないためには、常に温度・湿度を整えて「なりにくい環境」を保つことがとても大切です。

■ 目安は「室温25℃以下、湿度50%以下」

犬や猫が快適に過ごせる環境は、「室温25℃前後・湿度50%以下」がひとつの目安です。
日中はエアコンを使用して室温を調整し、湿度が高い日はドライモードや除湿機を活用して湿度にも気を配りましょう。
サーキュレーターを併用すると、温度や湿度のムラが生じにくくなります。
また、窓に遮光カーテンやすだれを設置すれば室温の上昇も防げるのでおすすめです。

■ お留守番時の注意点

外出から戻ったら熱中症になっていたという事例もあります。
犬や猫をお留守番させるときは、特に以下の点に注意しましょう。

  • ケージやサークルを直射日光の当たる場所に置いていないか
  • エアコンは連続運転またはタイマー設定にしてあるか

そのほか、リモートで確認できる温湿度計やペット見守りモニター、冷感グッズなども積極的に活用すると安心です。

 

5. 脱水を防ぐ水分補給のポイント

熱中症のもう一つの大きな原因が「脱水」です。
犬や猫はもともとあまり水を飲まない傾向があるため、日常的に水分をとりやすくするよう、室温・湿度の管理とあわせて、しっかり環境を整えておきましょう。

■ 清潔で新鮮な水を複数設置

どこにいても水が飲めるように、複数の飲みやすい場所に水を設置しておきましょう。
暑い時期は水がぬるくなりやすいため、少量ずつこまめに替えることも大切です。

■ 食事からも水分補給

ウェットフードやスープを与えたり、ドライフードにぬるま湯を加えたりすることで、水分摂取量を増やすことも効果的です。

■ 自動給水機の活用

流れる水が好きな犬・猫には、ウォーターファウンテンもおすすめです。
ただし、管理の手間が減る一方で、すべての犬・猫に合うわけではないため、初めて使用する際は様子をよく観察しましょう。

 

6. 散歩中の注意点(犬)

室内の温湿度管理や水分補給をしっかりしていても、外出時の環境によっては一気に熱中症のリスクが高まります。
外でも「熱中症になりにくい環境」を意識した行動が大切です。

■ 時間帯と湿度に注意する

直射日光を避け、早朝や夕方以降の涼しい時間帯を選んで散歩しましょう。
夜間でも湿度が高く蒸し暑い日もあるため、こまめに犬の様子を確認し、油断のないようにしましょう。

■ 地面の熱さを手でチェック

アスファルトは想像以上に熱くなるので、手のひらで地面を触り、熱くないか確認してから歩かせるようにしましょう。
夕方以降でも、日中の熱が残っている場合があります。

■ こまめな水分補給を忘れずに

携帯用のボトルを用意して、こまめに水分補給をしましょう。

■ 短頭種の犬は特に注意

短頭種の犬は呼吸による熱放散が苦手なため、首にクールリングを巻くなど、あらかじめ対策をしておきましょう。

 

7. 熱中症が疑われた時の対処法

気をつけていても、万が一症状が現れてしまったときには、すぐに正しい対応を取ることが命を守るカギになります。
慌てず落ち着いて行動できるよう、事前にポイントを確認しておきましょう。

■ まずは涼しい場所で安静に

直射日光の当たらない場所へ移動し、扇風機やエアコンで風を当てて体の熱を逃がしましょう。

■ 効果的な冷やし方

濡れたタオルを体に当てて、扇風機などで風を当てるのも効果的です。
首、脇の下、内股にタオルで巻いた保冷剤を当てて冷やすのもおすすめです。
※注意:冷たい水を全身にかけるのはNG!(体表の血管が収縮して逆効果になるほか、病院での処置に悪影響を及ぼす場合があります)

■ 水分補給は少しずつ

意識がある場合のみ、少量ずつ水を与えましょう。
嘔吐が見られる場合や、ぐったりしている場合は、無理に飲ませないようにしましょう。

■ 動物病院を受診すべき症状

  • 意識がもうろうとしている
  • 呼吸が荒い
  • 嘔吐が見られる
  • ぐったりしている
  • 舌の色が赤紫〜紫色

このような症状は危険信号です!すぐに動物病院へ連れて行きましょう。 ※上記以外の症状でも、症状が続いていて不安な場合は、早めに動物病院を受診してください。

 

8. まとめ:小さな習慣が、ペットの命を守る

犬や猫は、人間以上に暑さや湿度の影響を受けやすい動物です。
室温・湿度の管理、こまめな水分補給、散歩の時間帯の調整など、日々のちょっとした心がけがペットの命を守ります。
大切な家族が元気に夏を乗り切れるよう、今から準備しておきましょう。

 


 

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