【獣医師が解説】犬の換毛期ケア 自宅でできるブラッシングやシャンプー、食事ケアを皮膚科の先生が詳しく解説!

このコラムの執筆者
獣医師 今枝 奈緒美
日本獣医生命科学大学卒。
日本獣医皮膚科学会所属。
勤務医として臨床に携わる傍ら、名古屋市と東京都の2つの動物病院にて皮膚科外来を担当。主に犬猫のアトピー性皮膚炎やアレルギー疾患の診療を得意とする。
ペットの皮膚トラブルに悩む飼い主様向けに、セミナー登壇・セミナー主催・皮膚科相談・関連商品の販売などを行う。
- 換毛期(かんもうき)って何?
- 皮膚トラブルの出やすい換毛期
- 換毛期のおうちケア
- ブラッシング
- ブラシの種類と選び方
- シャンプー
- マッサージ
- これも大切 生活習慣と食事
- こんなときには動物病院へ
- まとめ
1. 換毛期(かんもうき)って何?
犬の毛は大きく分けて2層に分かれています。外に見えている硬く太い毛(トップコート)と内側にあるふわふわな綿毛(アンダーコート)です。内側のアンダーコートは、外側の毛の5~20倍生えていて、主に体温調節に役立っています。
換毛期とは、この内側の毛(アンダーコート)が生え変わる期間のことで、主に春と秋の年2回やってきます。
毛の生え変わりには、栄養状態やホルモンバランスなど様々な要素が関係していますが、特に大きな要素は太陽が出ている時間、日照時間です。日照時間の短い秋から冬はアンダーコートが伸び、反対に春から夏はアンダーコートが抜けていきます。
2. 皮膚トラブルの出やすい換毛期
換毛期は毛が生え変わる敏感なタイミングなので、皮膚トラブルが出やすくなってしまいます。
たとえば、こんなトラブルは起きていませんか?
- 皮膚の赤みやかゆみ
- フケやべたつき、脂っぽくなる
- 毛がうまく抜け落ちない、毛が抜けたところから新しい毛が生えない
3. 換毛期のおうちケア
こうしたトラブルを防ぐためにおうちケアをやってみましょう!
① ブラッシング
抜け毛を取り除くだけでなく、皮膚の健康や育毛にとって重要な意味のあるブラッシング。こんな効果が期待できます。
- 血流促進:血流が良くなり皮膚の代謝が活性化、育毛にも
- 皮脂バランスの調整:皮膚の余分な脂を抑えられます
- フケや花粉の除去:アレルギーの原因も除去できます
- 皮膚の観察:愛犬の皮膚の変化にすぐ気づける
② ブラシの種類と選び方
いろんな種類が売られているブラシ。その特徴や使い方を知っているだけで愛犬に適したブラッシングできるようになります。
| ブラシの種類 | 特徴・おすすめの使い方 |
| 獣毛ブラシ | 毛にツヤを与え、皮脂を均等にのばすことができる。毎日のケア、仕上げブラシとして日常的に使うことができます。 |
| スリッカーブラシ |
細い金属ピンで毛玉をほぐすのに最適。 |
| コーム、くし | 毛のもつれ取りや仕上げに最適。スリッカー後に取り切れなかった毛玉やもつれのチェックにも。 もつれに応じて、細かい歯・粗い歯を使い分けましょう |
| ラバーブラシ | やわらかいゴム素材で短毛犬や敏感肌に最適。抜け毛除去やマッサージ効果も。 肌に優しく当ててあげましょう。 |
| ファーミネーター | 優しいブラッシングで大量に毛が取れるブラシ。 既に抜けている毛、抜けかかっている毛だけを取り除くことができる。背骨に当たると痛いので、当て方には注意。 |
ブラッシングの基本は「優しく・こまめに」、力を入れずブラシの重みですすめるような力加減で、週に1回~やれるようなら毎日やってみましょう!換毛期は短毛・長毛にかかわらず頻度を増やしましょう。
ブラッシングは皮膚の健康や育毛に大切ですが、注意点もあります。
- 毛の流れに沿って優しく
- 力を入れすぎず、愛犬が心地よい強さで
- 同じ場所ばかりでなく満遍なくかける
- 内側の毛(アンダーコート)までブラシをかける嫌がる場合は無理やり行わない
- 皮膚に赤みや異変が出たらすぐに中止
- 困ったらトリミングサロンや動物病院に相談を
③ シャンプー
抜けたアンダーコートを洗い流すことができるシャンプーは、皮膚と毛にとって重要なケアです。また、洗い終わりは保湿も大切です。
シャンプーはブラッシングと同様に優しく洗うことが大切です。スポンジやネットでシャンプー剤を泡立てて、こすらず洗いましょう。皮膚の状況に応じて薬用シャンプーや低刺激シャンプーを使用することもおすすめです。
洗い終わりは皮膚が乾燥しやすくなるので、必ず保湿剤をドライの前か後に使用しましょう。全身の保湿には塗りやすいローションタイプやジェルタイプがおすすめ。保湿剤の内容としては、セラミドやヒアルロン酸、アミノ酸や尿素が配合された保湿剤が効果的です。
もし愛犬が入浴できる場合、ぬるめ(35°Cくらい)に保湿入浴剤を溶かし、5~10分ほど全身入浴させてから洗い流さずに乾かすのもおすすめです。
④ マッサージ
毛をより良い状態に保つために、皮膚への血の流れを良くしてあげることも重要です。マッサージは、血流が促進できるだけでなく愛犬のリラックス効果も期待できます。
蒸しタオルで皮膚を温めてから、優しく撫でてマッサージしてみましょう。マッサージのポイントは・・・
- 手のひら全体で毛の流れに沿って(コリを押すのは×)
- 毛が硬い場合は保湿剤を使って負担軽減
- 入浴ができる場合は入浴中のマッサージがとても、保湿入浴剤の活用で保湿効果+血流促進効果
⑤ これも大切 生活習慣と食事
皮膚トラブルを防ぐおうちケアは、ブラッシングやシャンプーだけではありません。こんな生活習慣や食事がトラブルの原因になることも・・・
- 偏った栄養バランス
- 気温変化を感じにくい生活
- ストレスの蓄積や環境の変化
- ずっと室内にいて太陽を浴びていない不規則なリズム(長いお留守番、昼夜逆転)
おうちでできるケアは、起床・活動・食事・睡眠の時間をなるべく一定にしてあげることです。適度な散歩や日光浴も大切。
また、栄養バランスを整えてあげることも、皮膚トラブルを防ぐおうちケアの一つです。年齢や皮膚の状況に合わせて食事の内容を調整する必要があり、特にタンパク質は皮膚トラブルを防ぐための大切な栄養です。
口から摂ったタンパク質の約3割が毛や皮膚を作る基礎になると言われ、良質な肉や魚から、しっかりとタンパクを摂取することが大切です。
4. こんなときには動物病院へ
老齢犬の換毛トラブルは動物病院へ相談をおすすめします。
また、次のような状態のときやホルモン性の病気(脳・甲状腺・副腎・生殖器で作られるホルモンバランスが乱れる病気)による毛や皮膚のトラブルも動物病院に相談しましょう。
- 新しい毛が生えてこない
- 古い毛がスムーズに抜け落ちない
- 肩やお尻、腰回りにゴワゴワした毛が残りやすい
- 皮膚にかゆみやフケが目立つ
- 皮膚が乾燥している、過敏になっている
5. まとめ
毛期こそ普段よりも“ていねいなケア”が大切です。換毛期は皮膚トラブルが増えやすいですが、こまめなブラッシング・適切なシャンプー・規則正しい生活・良い栄養バランスを意識することで、多くのトラブルを予防できます。
おうちケアは見た目を整えるだけでなく、愛犬の健康維持にとって大切な時間です。毎日のケアが、愛犬にとっても飼い主様にとっても、心地よいコミュニケーションの時間になりますように。
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