【夏バテ?腎臓病?】愛犬・愛猫が急にごはんを食べない…食欲不振の理由と今すぐできるとっておきの対処法
【この記事はこんな人におすすめ】
- 愛犬・愛猫に夏バテのような症状が見られる方
- ドッグフード・キャットフードを食べてくれず、困っている方
- 腎臓病や歯周病などによる食欲減退に悩んでいる方
- 食欲不振に効果的なごはんの食べさせ方を知りたい方

このコラムの執筆者
獣医師 今井まなみ
元ペットフードメーカー勤務。
動物病院やペットオーナー向けの食事指導の経験を活かし、企業フードのレシピ開発や手作りごはん講座を運営。
- 犬・猫の「食べない」にご用心
- 食欲不振の理由はさまざま
- すぐに動物病院へ!食欲不振の危険サイン
- ごはんを食べない時の簡単アレンジ術
- 食欲がないなら食べさせ方を見直そう
- 夏の食欲不振と対処法まとめ
1. 犬・猫の「食べない」にご用心

夏になると、「最近ごはんを残すことが多いな…」「暑いから食欲がないのかな?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。食欲低下は、高齢犬・高齢猫に限った話ではありません。犬や猫も人間と同じように、暑さで活動量が減ったり胃腸の働きが落ちたりすると、一時的に食欲が落ちることがあります。これは、私たちでいう「夏バテ」のような状態です。
ただし、食欲不振が長引く(数日以上続く)場合や他の症状を伴う場合は、腎臓病や心疾患などの重大な「病気のサイン」である可能性も。
この記事では、夏場に見られる食欲不振の主な原因と、飼い主さんがご家庭でできる「フードの選び方」から「与え方の工夫」までわかりやすく解説します。
2. 食欲がない原因はさまざま

犬・猫の食欲不振には、「体の不調」から「環境の変化」まで幅広い要因が関係しています。ここでは代表的なものを整理してみましょう。
■ 病気の可能性
食欲低下が数日続いたり、元気のなさ、嘔吐・下痢といった症状を伴ったりする場合は、身体からのSOSサインかもしれません。以下のような病気の可能性もあるので注意が必要です。
・消化器疾患
胃腸炎、膵炎、誤食(異物)など。胃腸の不調は直接的に食欲に影響します。
・口腔内トラブル
歯周病、口内炎、口腔腫瘍など。口の中に痛みや不快感があると、食べたくても食べられないことがあります。特に猫では、歯肉炎や口内炎が非常に多いため注意が必要です。
・内臓疾患
慢性腎臓病、肝疾患、心疾患など。これらの病気は身体全体の働きに影響を与え、食欲の低下を引き起こします。
■ 環境の変化やストレス
犬や猫はとても繊細な生きものです。引っ越しや模様替え、新しいペットや赤ちゃんの誕生、家族構成の変化など、周りの環境が変わることで、食欲に影響が出ることがあります。
また、日常のちょっとした出来事や季節の変化も、ストレスとなって食欲を低下させることがあります。長時間の留守番や運動不足はもちろん、夏の花火や雷の音、台風・大雨などの天候の変化がストレスになることも。
■ 加齢
シニア期に入ると、嗅覚や味覚の働きが鈍り、フードに対する興味や食べる意欲が低下してしまうことがあります。
さらに、噛む力や飲み込む力も衰えるため、「食べづらさ」が増してしまい、それが原因で食欲が低下することもあります。
また、シニア期は何かしらの疾患を抱えているケースも多いため、食欲不振の背景には病気が隠れている可能性も十分に考慮すべきです。
■ 夏バテ
人間と同様に、犬や猫も夏の暑さや湿気で体が疲れてしまい、胃腸の働きが弱まることで食欲が落ちやすくなります。
また、暑さで活動量が減ると、エネルギー消費が少なくなり、お腹が空きにくくなります。
■ その他
体調や身体的な要因以外にも、食欲が低下する原因があります。
・おやつやトッピングの与えすぎ
主食の前にたくさんおやつやトッピングを与えてしまうと、肝心の主食(総合栄養食)を食べなくなってしまうことがあります。
・同じフードに飽きた
長期間同じフードを与えていると、同じ味に飽きてしまい食いつきが悪くなることがあります。
・一時的な気分や体調の揺らぎ
ストレスや環境の変化がなくても、一時的な体調の変化により食欲が落ちることもあります。
3. すぐに動物病院へ!食欲不振の危険サイン

愛犬・愛猫の食欲不振に気づいたら、慌てずにまずは様子を観察することが大切です。 しかし、ごはんを食べない以外に次のような症状がある場合は、迷わず早めに動物病院を受診してください。
① 2~3日以上ごはんを全く食べない
※ただし、子犬・子猫は成長途中でエネルギーを貯めておける量が少ないので、半日~1日でも注意が必要です。
※猫の場合は、「脂肪肝(肝リピドーシス)」という命に関わる深刻な病気の可能性もあるため、1日以上食欲不振が続く場合はすぐに動物病院で診察してもらいましょう。
② 元気がない、ぐったりしている、嘔吐・下痢など
③ 水を飲まない、または急に水をたくさん飲むようになる
④ 普段は食いつきの良いおやつすら食べない
⑤ 急激な体重減少
こうした症状が見られる場合は、身体のどこかに”深刻なトラブル”が隠れている可能性があります。早期発見のためにも放置せず、すぐに動物病院を受診しましょう。
4. ごはんを食べない時の簡単アレンジ術

病気や重い症状がみられない場合、ドッグフードやキャットフードにちょっとした工夫を加えることで、食欲回復のきっかけになることもあります。ご自宅でできる簡単なものなので、ぜひ試してみてください。
■ ウェットフードを活用する
水分を多く含むウェットフードは香りが立ちやすく、ドライフードに比べて嗜好性が高いのが特長です。そのため、食欲が落ちたときにも試しやすく、心強い選択肢になってくれます。しかも、夏場の食欲不振時には「脱水」も注意する必要がありますが、ウェットフードであれば食事と同時に水分補給も兼ねることができます。
■ ドライフードをふやかす
ドライフードをぬるま湯でふやかすと、香りが広がりやすくなり食欲を刺激してくれます。 一般的に犬・猫は「温かい」状態の食事を好むことが多いですが、夏場などの暑い時期や好みによっては「冷たい」状態の食事を好む子もいます。
■ トッピングで工夫
鶏ささみ(茹でて食べやすい大きさに裂く)や茹でたさつまいもなど、嗜好性の高い食材を少量トッピングすることも有効です。
夏場であれば、きゅうり、ミニトマト、スイカなども水分を多く含んでいて水分補給にもなるのでおすすめです。適量であれば加熱せずに与えることも可能です。
※トッピングの与えすぎは、カロリーオーバーや栄養バランスが崩れてしまう原因になります。おやつやトッピングは1日の必要カロリーの10%以内を目安に、与えすぎないよう注意しましょう。
5. 食欲がないなら食べさせ方を見直そう

食事の与え方をほんの少し見直すだけでも、食べるきっかけになることがあります。
■ 与える時間・場所
夏場は、日中の暑い時間を避けて、朝晩の比較的涼しい時間帯にごはんを与えることで、食欲が増すことがあります。また、愛犬や愛猫が安心して食事に集中できるよう、食事中に邪魔が入らない静かで落ち着いた場所で食べさせてあげることも大切です。
■ 食器
プラスチック製の食器は匂いや汚れがつきやすく、犬・猫によっては嫌がることがあります。 嗜好性の面では「陶器」の食器がおすすめで、洗いやすく清潔に保ちやすいのもポイントです。
また、食器の高さを調整してあげることも有効です。特にシニア期の犬・猫の場合、食器台を使って高さを調整してあげると、首や関節への負担が減り、楽な姿勢で食べられるようになります。
■ 食事の量
食事を少量ずつ複数回に分けることで、胃腸への負担がやわらぎ、食欲が落ちている子でも食べやすくなります。食べ残しを防ぐことにもつながります。
■ 手から与える
飼い主さんが直接手から少しずつ与えることで、愛犬・愛猫に安心感を与え、食欲を刺激することがあります。
ただし、この方法に頼りすぎると、手から”しか”食べなくなる可能性もあるため、あくまで一時的な対策として限定的に試しましょう。
6. 夏の食欲不振と対処法まとめ

夏の暑さで愛犬や愛猫の食欲が落ちてしまうのは、決して珍しいことではありません。一時的な「夏バテ」である場合もありますが、なかには病気が隠れていることもあるため注意が必要です。
食欲が低下している時は、まずは今回ご紹介した家庭でできる工夫から試してみてください。それでも2~3日以上まったく食べない、元気がなくぐったりしている、嘔吐や下痢が見られるといった場合は、迷わず、早めに動物病院を受診してください。
日頃からのさりげない観察と、その子に合ったケアが、厳しい夏を元気に乗り越えるための大切な支えになります。
今回ご紹介した内容が、少しでも、毎日のごはん時間や体調管理のヒントになれば幸いです。
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