【獣医師解説】【ハロウィン前に】誤飲・いたずらを防ぐしつけのコツ

このコラムの執筆者
Polsris Vet 代表
獣医師 渡邉 史恩
全国の動物病院で出張手術や専門診療のサポートサービスを展開。日々の現場で感じる「本当に必要なケア」の目線から、ペットとご家族の安心につながる情報をお届けしています。
- ハロウィンとペットの誤飲・いたずらリスク
- ハロウィンで犬猫が注意すべき誤飲リスクとは?
- 誤食として注意すべきものリスト
- 獣医師がすすめる誤飲・いたずら防止のしつけ方法
- おうちでできる安全対策チェックリスト
- まとめ:しつけ+環境管理で楽しいハロウィンを
1. ハロウィンとペットの誤飲・いたずらリスク

ハロウィンは、家族や友人と楽しむイベントとしてすっかり定着しました。お菓子や装飾仮装グッズなどで華やかに彩られる一方で、犬や猫にとっては「危険なもの」が増える季節でもあります。
動物病院では、チョコレートやキャンディの誤食、リボンや飾りの飲み込み、さらには仮装用の小物による腸閉塞といったトラブルが相談されることがあります。
「犬 誤食」「猫 誤飲」といったキーワードで検索される方が多いように、誤飲事故は飼い主にとって身近で深刻な問題です。特にハロウィンシーズンは、普段の生活よりも誤食やいたずらのリスクが高まりやすい環境になります。
そこで本記事では、獣医師の立場から、ハロウィンで気をつけたい誤飲リスクの実例と、日常からできるしつけのコツや安全対策をわかりやすく解説します。大切な愛犬・愛猫と安心してイベントを楽しむために、ぜひ参考にしてください。
2. ハロウィンで犬猫が注意すべき誤飲リスクとは?

ハロウィンの時期は、普段の生活空間にない“魅力的な危険物”が増える季節です。好奇心旺盛な犬や猫にとって、見慣れない匂いや光る飾りは格好のターゲット。思わぬ誤飲やいたずらにつながることがあります。
■ 食べ物によるトラブル
テーブルに置かれたチョコレートやキャンディ、焼き菓子などは、犬や猫にとって強い匂いの誘惑になります。
特にチョコレートに含まれるテオブロミンやキシリトール入りのお菓子は、少量でも中毒を起こす可能性があります。包装紙ごと飲み込むことで、腸閉塞の危険もあります。
■ 装飾や小物によるトラブル
ハロウィンの飾りには、リボン・ビーズ・風船・プラスチック製の装飾など、誤って口にしてしまうものが多く含まれます。
噛みちぎって飲み込むと、消化管の損傷や異物閉塞を引き起こすリスクがあります。
実際にかぼちゃの飾りを噛み砕いて飲み込んでいたなんて事もありました。
■ 仮装グッズによるトラブル
ペット用の仮装グッズや飼い主の衣装に付いた飾りも要注意です。
ボタンや鈴、飾り紐などを誤って飲み込むケースもあります。特に猫では紐状のものは要注意です。誤って飲み込むと腸が広範囲で傷害を起こす危険性があります。
このように、ハロウィン期間中は「食べ物」と「装飾物」の両方が誤飲の原因になりやすい状況が重なります。
3. 誤食として注意すべきものリスト
ハロウィンの時期は、普段の生活では見かけない小物などが家の中に増えるため、犬や猫が誤って口にしてしまう危険が高まります。
ここでは、獣医師の立場から見て特に注意すべき誤食アイテムを整理しました。
■ 鋭利なもの
例: 割れた飾り、プラスチック片、竹串、アルミホイルを噛みちぎったもの など
➡ 消化管を傷つけたり穿孔(穴があくこと)を起こしたり、腹膜炎や出血などの重篤な合併症につながる恐れがあります。
■ 紐状のもの
例: リボン、包装用ビニール紐、毛糸、電飾コード など
➡ 腸が“アコーディオン状”によじれてしまい、広範囲に壊死や穿孔が起こることがあります。特に猫では非常に危険です。
■ 腸に詰まるサイズのもの
例: 小さなおもちゃ、飾りのビーズ、仮装用ボタンや鈴 など
➡ 体重や体格によって危険なサイズは異なりますが、腸閉塞は緊急手術が必要となる命に関わる疾患です。
体格に対して、非常に小さなものであれば自然に便と一緒に排泄される可能性もありますが、万が一飲み込んでしまい、自然に排泄されるか心配な場合は動物病院へ相談しましょう。
■ 中毒を起こす可能性があるもの
代表例:
•チョコレート(テオブロミン中毒)
•キシリトール(低血糖・肝障害)
•ブドウ・レーズン(腎不全)
•玉ねぎ・ニンニク(赤血球障害)
•アルコール(中枢神経抑制・低血糖)
➡ 少量でも中毒を起こすことがあり、体重の小さい動物ほど影響を受けやすいため「少しだけなら大丈夫」は禁物です。
これらの危険物は、どれも「見つけやすく、拾いやすい位置」に置かれていることが多いのが特徴です。
飾り付けを楽しむ際は、ペットの目線で部屋を見直し、口にできるものがないかをチェックしておきましょう。
4. 獣医師がすすめる誤飲・いたずら防止のしつけ方法
誤飲やいたずらを防ぐためには、「危険なものを置かない」だけでなく、普段からのしつけやトレーニングも重要です。
ここでは、家庭で取り入れやすいしつけのポイントを紹介します。
■ 「ちょうだい」「はなして」を覚えさせる
拾ってはいけないものを口にしてしまったとき、無理に取り上げようとするとかえって飲み込んでしまうことがあります。
普段から「ちょうだい」や「はなして」のコマンドを練習しておくと、危険な場面でも落ち着いて対処できます。
トレーニング用のトリーツなどを使って、交換(トレード)を繰り返し練習するのが効果的です。
■ 「オフ」「ノー」で拾い食いを防ぐ
床に落ちたものに興味を示した時点で「オフ(触らない)」「ノー(だめ)」などのコマ
ンドを使い、行動を止められるようにしましょう。
誤食事故の多くは、床に落ちた食べ物や包装を一瞬で口にしてしまうことで起こります。
飼い主の声かけで制止できるようにしておくことが、最も確実な予防策の一つです。
■ クレートトレーニングで安心スペースを作る
ハロウィンパーティーなどのイベントを行う場合は環境が一時的に騒がしくなります。
犬や猫が興奮して行動が制御できなくなる前に、クレート(ハウス)やサークルに慣らしておくことが大切です。
安心できる空間を用意しておくことで、いたずらや誤飲のリスクを下げられます。
■ しつけは「叱る」よりも「褒める」
いたずらや誤飲未遂のあとに強く叱ると、飼い主の反応自体が“注目してくれた”として学習されることもあります。
危険物に触れなかったときや、コマンドに従えたときにしっかり褒めて報酬を与えることが、長期的に行動を安定させるコツです。
このようなトレーニングを日常の中に取り入れておくと、ハロウィンに限らず、普段の生活でも事故を防ぐ力になります。
次の章では、ハロウィン当日に実践できる安全対策チェックリストを紹介します。
5. おうちでできる安全対策チェックリスト
ハロウィンが近くなると、家の中も少しずつ飾り付けが増え、イベントの準備で犬猫にとって魅力的な物が目につきやすくなってきます。
この時期は、犬や猫が普段と違う雰囲気に興奮したり、見慣れないものに興味を持ったりすることが多くなります。
そこで、季節の変化を安全に乗り切るためのチェックポイントをまとめました。
■ 食べ物・お菓子の管理
· チョコレートやキャンディは、テーブルや棚の上に置きっぱなしにしない
· においも強く、犬猫が興味を持ちやすいものは、食後すぐに片付け、ごみ箱はふた付きタイプに変更するのがおすすめ
■ 装飾や飾り付けの工夫
· 床やソファ付近に垂れ下がるリボンや紐は避ける
· 光る飾りや電飾コードは手の届かない位置・壁面固定する
· 風船やプラスチック製の装飾は、破裂や噛みちぎりによる誤飲に注意
■ 来客やイベント準備時の対応
· 来客や配達などで出入りが増える時期は、別室やクレートでの待機を習慣化
· 騒がしい環境が苦手なペットには、静かな部屋を用意しておく
■ 安全なおやつの活用
· 飼い主が楽しむお菓子とは別に、犬猫用のおやつを用意
■ 最後にもう一度「ペット目線」で確認
· しゃがんで部屋を見渡し、手の届く範囲に危険物がないかチェック
· イベント後も、飾りの残骸やごみが残っていないか確認
ハロウィンの準備を進める中で、少しの工夫を意識するだけでも、誤飲やいたずら事故の多くは未然に防ぐことができます。
6. まとめ:しつけ+環境管理で楽しいハロウィンを
ハロウィンは、季節のイベントとして家族みんなが楽しめる特別な時間です。
しかし、犬や猫にとっては「普段と違う環境」そのものがストレスや事故のきっかけになることもあります。
誤飲やいたずらを防ぐための一番のポイントは、しつけと環境管理の両立です。
「危険なものを置かない」「触らせない」といった物理的な対策に加え、
日頃から「ちょうだい」「はなして」「オフ」などのコマンドを習慣づけておくことで、いざというときに飼い主が冷静に対応できるようになります。
また、もし誤って何かを口にしてしまった場合は、すぐに動物病院へ相談することが大切です。
誤飲した物の種類や量、時間によっては、早急な処置で命を守ることができます。
ハロウィンの華やかな雰囲気の中でも、ペットが安心して過ごせる環境を整えることが、楽しいハロウィンを過ごす1番の秘訣です。
楽しい思い出を安全に残すために、今年のハロウィンはぜひ「安全対策」も一緒に計画してみてください。
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